梨状筋 (2024/04/14)


参照:ネッター解剖学アトラス

梨状筋と言うお尻の奥の方の筋肉があります。この筋肉は色んな特徴があり非常に面白い筋肉です。
色々な特徴があるからか、比較的問題が起こりやすい筋肉でもあります。
下図にあるように坐骨神経が近くを通るのも大きな特徴で、坐骨神経痛を起こすことがあります。

病院でヘルニアと診断を受けた方もこの筋肉の問題を取ると痛みが消えることはよくあります。

先日も一ヶ月くらい腰からお尻、太ももの裏が痛いと行って来られた方がいました。
立ってお辞儀する、立ち上がり、寝姿勢からの起き上がり時に強く痛みが出ていました。
SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)と呼ばれる仰向けで片方の足を持ち上げる検査でも痛みが出ます。

参照:日本人体解剖学 上巻

仙腸関節(上の図参照)というお尻の関節の問題でも似たような問題が起こることもある為、立った状態で仙腸関節を修正した位置でサポートしながらお辞儀をしてもらうテストをしました。
仙腸関節の問題であれば関節の位置に修正をかけて動かすと痛みが止まります。しかし、今回の例では痛みに変化がなく、いくつかの特徴から梨状筋の問題と特定しを一本打ちました。

その後、お辞儀をすると半分以上痛みが取れているとのことだったので、バランステクニックというオステオパシーの方法で対側の肩甲骨の辺りと一緒に施術をしてほとんど痛みがなくなったようです。

話がそれますが、バランステクニックは日本人のオステオパシーの先生が考案したものです。日本はオステオパシーが法制化されてなくオステオパシー後進国と思われがちですが、昔は新渡戸稲造さんの時代には伝わっていたそうです。今でも世界中の著名な先生が来日するので実は海外の先生が羨ましがってたりすることがあります。

話を戻して、上記のように問題部位を治療すると痛みは取れますが、全体を見ると上部頚椎(C2)横隔膜などにも問題があります。

梨状筋は仙腸関節に近いからか硬膜と呼ばれる繊維に関連して問題が起こる事が多いように思います。この硬膜は頭蓋骨や頚椎の上部、仙骨などを繋いでおりコアリンクと呼ばれています。

なので首の骨の上の方や頭の骨に硬さがあっても問題を再発させたりします。

参照:ウィズダム・イン・ザ・ボディ

あとは、梨状筋は呼吸による問題を起こす事がよくあります。なので胸郭と呼ばれる肋骨や胸骨で囲まれた場所、呼吸に使われる横隔膜肋間筋などの問題の代償として梨状筋が過緊張を起こしてしまうケースが見られます。

痛みの部位だけを施術するのではなく、問題が繰り返さないように身体全体を診たり、負担がかからない様デスクワークの姿勢や机、椅子の高さなどの普段の生活からくる問題を考えるのも重要です。

OMT-LAB 山崎

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